滋賀県の省エネ診断は誰のため? 令和8年度の早期受付終了を検証
令和8年度の早期受付終了を検証、早期受付終了から制度設計を考える。

滋賀県の省エネ診断は誰のため? 2026年度(令和8年度)の滋賀県省エネ診断支援事業は、当初2027年1月15日までの受付を予定していたにもかかわらず、2026年9月時点で「受付終了」となっている。令和8年度 省エネ診断支援事業(中小企業者向け)では、申請期限として2027年1月15日17時が示されているが、現在は受付終了の表示に変更されている。
省エネ診断は、中小企業のエネルギーコスト削減や設備更新、脱炭素経営の第一歩となる重要な支援制度である。
しかし今回の早期終了を見て感じるのは、単なる予算不足ではなく、
「制度は本当に県内事業者の利益を最大化する形で運営されていたのか」
という疑問である。
確認できる事実
まず、感情論ではなく確認できる事実から整理したい。
当初の受付期間
滋賀県産業支援プラザが公開している事業案内では、
- 受付開始:2026年4月30日
- 受付終了予定:2027年1月15日17時
と記載されている。
一方で現在のページには、
「受付終了いたしました」
と明記されている。
つまり、当初予定より大幅に早い段階で募集が終了したことは事実である。
この事業には二つの診断ルートが存在する
滋賀県の制度では、利用者は大きく二つの方法で省エネ診断を受けることができる。
① プラザ登録専門家による診断
滋賀県産業支援プラザが登録する省エネ診断専門家を派遣し、診断を実施する方式。
② 国等が行う省エネ診断
一般財団法人省エネルギーセンターなど、国等の専門機関が実施する診断制度を利用する方式。プラザは利用者負担分の助成を行う。
さらに公式ページでは、
「プラザでは国等が行う省エネ診断もおすすめしています」
と記載されている。
つまり制度運営側も、二つの診断ルートが存在することを前提として事業を実施している。
ESDAが継続して指摘してきた問題
一般社団法人エナジーセーブデザイン協会(ESDA)は、今回初めてこの問題を指摘しているわけではない。
2022年から継続して、
- 二つの診断ルートの比較
- 費用構造の違い
- 県費の使われ方
- 事業成果との関係
について調査と問題提起を行ってきた。
ESDAの調査では、

令和7年度も約97%の予算が「プラザ枠専門家」で執行されている。
単純に「プラザ枠専門家」は、県税100%負担のため、何倍も支出が高い。
果たしてその費用は、支出に値した効果を発揮しているのだろうか?
と分析されている。
また、令和7年度診断費用の集計資料でも同様の傾向が示されている。
ただし、この分析はESDAによる独自集計であり、滋賀県または滋賀県産業支援プラザの公式評価ではないことを明記しておきたいが、情報公開請求によるかなり精緻な数字である。
なぜ、毎年同じような配分になるのか
ここで生じる疑問がある。
もし二つの診断ルートが存在し、費用構造にも違いがあるのであれば、
- なぜ同じような予算配分が続くのか
- なぜ特定ルートへの集中が継続するのか
- 他ルートとの比較検証は行われているのか
という点である。
ESDAは以前から同じ論点を繰り返し指摘している。
そして令和8年度には、実際に事業が年度途中で受付終了する結果となった。
もちろん、この事実だけで制度運営者の意図を断定することはできない。
しかし、複数年度にわたり類似した配分が続き、その結果として診断を希望する事業者が年度途中から制度を利用できなくなるのであれば、
「なぜその予算配分が選択されたのか」
について説明を求めることは自然なことである。
問われるべきは「意図」ではなく「根拠」
本記事は誰かを非難したいわけではない。しかし、事象が誰かの不作為で合った場合の責任は追求されるべきではないか?
- なぜこの配分だったのか
- 他の手法と比較したのか
- より多くの事業者を支援できる選択肢はなかったのか
という説明責任は必ず存在する。
税金を財源とする制度である以上、
「なぜその判断を行ったのか」
を県民に説明することは当然求められる。
本来評価されるべき成果とは何か
省エネ診断事業の目的は、本来、
- エネルギーコストの削減
- CO₂排出量の削減
- 設備投資の促進
- 県内企業の競争力向上
である。
したがって評価すべき指標は、
- 何件の診断を実施したか?ではない。
- 何社が支援を受けたか?ではない。
- どれだけの設備更新等につながったか?でもない。
それは、
- どれだけの省エネ・創エネ効果があったか?
- 県税費用対効果はどれくらいであったか?
- どれだけ、CO2ネットゼロ社会への貢献を果たしているか?
である。
重要なのは、
いくら使ったかではなく、どれだけ成果を生み出したか
という視点だ。
滋賀県産業支援プラザに求められる説明
県民や事業者が知りたいのは単純である。
- なぜ受付終了になったのか
- 当初見込みとの差は何だったのか
- 二つの診断ルートの件数はどうなっていたのか
- 県費はどのように配分されたのか
- より多くの事業者を支援する方法は検討されたのか
これらは批判ではなく、制度評価のために必要な情報である。
滋賀県の省エネ診断は誰のため?
省エネ診断事業の主役は、専門家でもなく、 制度運営組織でもない。
本来の受益者は県内事業者である。
だからこそ問うべきなのは、
「予算を使い切ったか」
ではない。
「その予算によって、どれだけ多くの事業者を支援できたのか」
である。
令和8年度の早期受付終了は、一つの結果に過ぎない。
しかし、その背景には、以前から指摘されてきた制度設計や予算配分の課題が存在していた可能性がある。
だからこそ今必要なのは、
「省エネ診断事業は誰のために存在するのか」
という原点に立ち返った検証ではないだろうか。

