電気代の高騰による関西電力の支援と単価と使用量の見方

関西電力の電気代の値上げが気になる中小企業も多いのではないでしょうか。「電気の使い方は変えていないのに、請求額が増えた」「これからの電気代をどのくらい見込めばよいだろう」と、電気代の変動は日々の経営上の問題のひとつです。
電気代の上昇は来春以降も続くおそれがあります。中小企業がまずやるべきことは、自社の契約で「何が、いつ変わるのか」を確かめることです。
大手電力10社が発表した2026年10月使用分(11月請求分)の標準家庭向け電気料金は、全10社で過去最高を更新する見込みです。
店舗や事務所、工場の電気料金も無関係ではありません。国の電気料金支援は、原則として2026年7〜9月使用分が対象です。ただし、関西電力では料金月と実際の使用期間に違いがあるため、10月分の電気料金にも値引きが適用される契約があります。支援終了の影響がいつ請求額に表れるかは、契約内容や検針日によって異なります。
この記事では電気代上昇の背景を整理し、関西電力の高圧契約に関する資料をもとに中小企業の経営にどう響くのか、何を確認しておけばよいのかを整理します。
関西電力の電気代が値上げする背景とは
理由は補助金の切れ間と燃料高の反映が同時に来たことです。
- 補助金の切れ間:政府は7~9月使用分に大きな補助を出していました。今年は規模が大きかった分、補助がなくなった反動も大きくなります
- 燃料高の反映:電気代には、燃料価格の上昇を機械的に料金へ反映する仕組み(燃料費調整制度)があります
ポイントは、燃料価格の上昇が電気代に反映されるまでに時間差があることです。日本の発電電力量の約7割を火力発電が占めています。
火力発電に使用するLNG(液化天然ガス)や石炭などの多くは海外からの調達です。日本のLNGは原油価格に連動する契約が多く、原油の上昇は約4か月後にLNGへ、さらに数か月後に電気代に届きます。3月の原油高騰の影響が今になって出てきている計算です。
さらにホルムズ海峡を避けた代替ルートでの燃料調達は輸送費や保険料の上乗せでコストが高くなっています。
低圧も高圧も国の電気料金支援は9月使用分で終了
国の値引き単価は全国共通です。電力会社やエリアによる違いはありません。違うのは契約の区分です。
| 契約の区分 | 主な使い手 | 7月・9月使用分の値引き | 8月使用分値引き | 10月使用分以降の値引き |
| 低圧 | 小さな店舗・事務所・家庭 | 3.5円/kWh | 4.5円/kWh | なし |
| 高圧 | 中規模の店舗・ビル・工場 | 1.8円/kWh | 2.3円/kWh | なし |
| 特別高圧 | 大規模な工場など | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
使用量が同じなら、9月分から10月分にかけて低圧は月1,000kWhあたり3,500円、高圧は月1万kWhあたり1万8,000円の負担増になります。
燃料高の単価上昇はこれとは別に加わります。
実際の請求額は使用量、基本料金、燃料費調整、市場価格調整等によって変わりますので、検針票を確認しましょう。
特別高圧は国の値引きの対象外となっていますが、重点支援地方交付金を活用した自治体による支援が行われる場合があります。
例えば、大阪府では2026年1~3月の電力使用分について、「大阪府特別高圧電力契約者等支援金」を実施しました。兵庫県でも、同期間を対象に「兵庫県中小企業等特別高圧電力価格高騰対策一時支援金」が実施されました。
いずれも申請受付は終了していますが、特別高圧電力を利用する中小企業に対する自治体独自の支援事例です。今後の支援制度については、各自治体の公式サイトで最新情報を確認してください。
関西電力の高圧契約で電気代はどう変わる?

国の支援終了と関西電力の料金変更
国の支援のほかにも、託送料金(発電所から工場や店舗などへ電気を届ける送配電ネットワークの利用にかかる料金)の反映や料金メニューの見直しがあります。
関西電力では2026年11月1日からの託送料金変更を電気料金に反映します。
以下は、関西電力の高圧契約における料金変更の時期を整理したものです。表の「○月分料金」は、必ずしも「○月に使用した電気」を意味するものではありません。
料金変更の表
| 変化 | 時期 | 内容 |
| 国の支援の縮小 | 10月分料金 | 値引きが2.3円から1.8円/kWhへ縮小。支援はまだ残る |
| 国の支援の終了 | 11月分料金 | 1.8円/kWhの値引きがなくなる |
| 託送料金の反映 | 11月1日 | 今の条件を続ける契約にも反映される |
| 標準メニューの見直し | 11月1日以降 | 新規契約から適用。既存の契約は満了後の新しい契約から |
関西電力の高圧500kW未満で関西電力が2026年9月29日に発表した2026年11月分電気料金の燃料費調整等で、従来条件に該当する場合、燃料費調整と市場価格調整の合計は10月分のマイナス0.03円/kWhから11月分のプラス2.19円/kWhへ変わります。差は2.22円/kWhです。
この2.22円/kWhの差には、国の電気料金支援1.8円/kWhが終了する影響も含まれています。そのため、支援終了分を別に加算しないよう注意が必要です。
工場と店舗の電気料金への影響を試算
関西電力の高圧500kW未満の契約で、今回の調整単価が適用される場合、11月分は10月分より2.22円/kWh上がります。使用量が同じなら、1万kWhあたり2万2,200円の負担増につながる計算です。例を挙げて試算してみます。
例えば「工場が1件」「店舗が10件」の企業だとします。
仮に工場で月5万kWh、各店舗で月3,000kWhを使用している場合、工場の調整単価が2.22円/kWh上がると、月11万1,000円の負担増要因になります。
一方、10店舗の合計使用量は月3万kWhです。低圧電力に適用されていた国の支援の3.5円/kWhが終了すると、値引き終了による影響だけで月10万5,000円になります。
| 事業所 | 計算方法 | 月間の負担増要因 |
| 工場1か所 | 50,000kWh×2.22円 | 111,000円 |
| 店舗10か所 | 30,000kWh×3.5円 | 105,000円 |
| 会社全体 | 216,000円 |
この試算は、工場と店舗でそれぞれ異なる料金の変動を想定し、負担増の要因を合計したものです。実際に同じ月の請求額が21万6,000円増えるとは限りません。契約区分や料金の仕組みが異なるため、事業所ごとに請求書を確認することが重要です。
料金月と電気の使用期間の違いに注意
同じ「10月分料金」でも、いつ使った電気の代金かは契約によって違います。給料の「10月分」が、会社によって9月に働いた分だったり、10月に働いた分だったりするのと同じです。
違いが生まれるのは、使用量を区切るタイミングです。関西電力の高圧契約では、500kW未満は毎月の検針日で区切り、500kW以上は月の1日から末日で区切ります。
料金月、実際の使用期間、請求書が届くころ、支払日はそれぞれ別に確認しましょう。
ここで注意しなければならないことは、国の電気料金支援は低圧と高圧だけということです。特別高圧は対象外となります。
「中小企業だから同じ制度」とは限りません。しかし、特別高圧は国の代わりに自治体が支援している場合がありますので確認が必要です。
電気代の値上げはいつまで続く?今後の見通し
10月から電気代が上がると警戒する気持ちがあるのは当然のことです。しかし、電力料金の面では7~9月の夏季料金が終わります。
10月からは「その他季料金」に切り替わる契約メニューもあります。電力量料金の単価が下がる場合もあるため、前月の請求総額を比較するだけでは、値上げの影響を正確に把握できません。
関西電力の電気代は、冬にかけても上昇する可能性があります。燃料価格の変動が、今後の料金に反映されることが考えられるためです。
今後、新たな電気料金支援が実施された場合も、支援の終了時期や値引き額によって電気代への影響は変わります。また、燃料価格の動向によっては、電気代がさらに上昇する可能性もあります。中小企業は、国の支援策や関西電力の料金に関する発表を継続して確認することが大切です。
関西電力の電気代|中小企業が今確認できる5つのこと

新しい請求書が届く前でも、過去の明細、契約書、更新の通知から、自社にどの条件が当てはまるかを整理できます。
- 契約を特定する:供給会社とエリア、低圧・高圧・特別高圧のどれか、メニュー名、500kW未満か以上か
- 条件と日付をそろえる:今の供給条件の実施年月、契約満了日、新条件の開始日、料金月と実際の使用期間
- 単価の内訳を分ける:基本料金、電力量料金、燃料費調整、市場価格調整、再エネ賦課金、支援の値引き額
- 使い方の実態を並べる:使用量(kWh)だけでなく、契約電力(kW)、力率、最大需要電力、季節・時間帯、操業日数
- 比較表を2つ作る:使用量などの条件を固定した「単価の比較」と、実際の「請求額の比較」を分けて作る
値上げへの備えとして節電や設備更新を考える場合も、まずは自社の条件を把握することが出発点になります。
電気料金の内訳を詳しく知りたい方は、関連記事「電気料金明細の燃料費調整額とは|事業所の電気代を確認してみましょう」も参考にしてください。燃料費調整額の仕組みや、料金明細の確認方法を解説しています。
まとめ
関西電力の電気代の値上げが気になる中小企業は、国の支援終了や燃料費調整、託送料金の変更時期を確認することが大切です。
この秋からの関西電力の電気代は、国の支援の縮小と終了、託送料金の反映、標準メニューの見直しが、時期をずらして重なります。燃料高の影響は半年遅れで届くため、上昇は来春以降も続くおそれがあります。
電気代は、使用量だけでなく、国の支援、燃料費調整、市場価格調整、契約内容によっても変わります。関西電力の高圧契約では、2026年10月分にも国の値引きが残り、11月分で終了します。さらに、託送料金の反映や契約更新時の条件変更も確認が必要です。
大切なのは、「値上げだ」と身構えることより、自社の契約で何がいつ変わるのかを確かめることです。料金月と使用期間、契約の区分と満了日を押さえておけば、予算や価格交渉の準備に早めに取りかかれます。

