滋賀県省エネ設備補助金が10月15日に終了|本当にその予算は適切なのか

令和8年度の滋賀県省エネ設備補助金(省エネ・再エネ等設備導入加速化補助金)は、2026年10月15日に受付を終了しました。当初の受付期限は12月10日でしたので、およそ2か月早い終了です。

予算を使い切ったこと自体は、制度が活用された証ともいえます。しかし、ここで問うべきは「本当にその予算は適切だったのか」です。公表資料と予算の数字を並べると、公表された期限を信じた事業者ほど間に合わない構造と、診断に多くの県費が使われてきた予算配分が見えてきます。本記事では、確認できる事実をもとに検証します。

滋賀県省エネ設備補助金の受付終了|確認できる事実

まず、滋賀県産業支援プラザの公表内容を整理します(2026年10月18日時点)。

受付期間(当初)2026年4月30日〜12月10日(17時必着)
実際の受付終了2026年10月15日(14時30分時点で予算額を超過)
予算額6,300万円
申請累計額6,333万2千円
交付決定額(公表時点)4,665万3千円
審査方式随時受付・随時審査(予算額に達した時点で締切)
補助率補助対象経費の1/3以内
申請の前提申請前に省エネ診断を受けること(リース・PPAによる再エネ設備などを除く)

出典:令和8年度 省エネ・再エネ等設備導入加速化補助金(滋賀県産業支援プラザ)

なお、今年度は過去に同じ補助金を受けた事業者も、一定の条件で再申請できるようになりました。この改善は、ESDAが令和2年頃から提言してきたものです。申請が増えた背景の一つと考えられます。

「省エネ診断」が入口、補助金が出口という二段構え

この補助金の特徴は、申請の前に省エネ診断を受けることが条件になっている点です。つまり、事業者は次の順に進む必要があります。

  1. 省エネ診断を申し込む
  2. 診断を受ける(申込から診断まで概ね4〜8週間)
  3. 報告会で診断結果の説明を受ける
  4. 見積を取り、補助金の交付申請を行う

所要期間は、プラザの制度説明資料に記載された目安です。そのため、補助金を申請するまでには、少なくとも2〜3か月程度を見込む必要があります。

ところが、令和8年度の省エネ診断支援事業は、9月17日に受付終了が告知されました。当初の受付期限は2027年1月15日でしたので、約4か月早い終了です。この時点で、新たに診断を受けて補助金に進む道は、事実上閉じられていました。

「1月15日まで」と「130件程度」が同じページに並んでいた

この早期終了は、予想外の出来事だったのでしょうか?県の情報サイト「ゼロナビしが」の診断案内ページには、申込期間を「令和9年1月15日17時まで」としたうえで、実施件数を「130件程度」と記載しています。そのうち20件程度は、省エネルギーセンターの診断を受け、費用をプラザが負担する枠です。また、「先着順で受け付け、申込が多数の場合は早期に終了する場合がある」とも書かれています。

ESDAのヒアリングでは、受付終了が告知された9月17日の時点で、申込は約130件に達していました。つまり、診断は当初から約130件で締め切られる設計であり、「1月15日まで」という期限は、申込が上限に達した時点で意味を持たなくなる日付だったといえます。過去の申込状況を踏まえれば、年度途中で上限に達することは予測できたのではないでしょうか。

出典:中小企業者等向け「無料省エネ診断支援」(ゼロナビしが)

公表された期限どおりに動くと間に合わない構造

公表されていた期限と、実際の終了日を並べてみます。

公表されていた期限実際の終了
省エネ診断(入口)2027年1月15日2026年9月17日に終了を告知
設備補助金(出口)2026年12月10日2026年10月15日

この表から、二つのことが読み取れます。

一つ目は、診断の公表期限(1月15日)が、補助金の公表期限(12月10日)よりも後に設定されていたことです。つまり、期限近くに診断を受けても、その年度の補助金には使えない日程でした。診断と補助金を一体の制度として案内しながら、期限は連動していなかったといえます。

二つ目は、補助金が先着順の随時審査だったことです。10月15日までに申請するには、診断に要する期間を逆算すると、遅くとも夏ごろまでに診断を申し込んでいる必要がありました。一方で、公表上は「12月10日まで」とされていました。

その結果、公表された期限を目安に、年末の設備更新を計画していた事業者ほど、入口も出口も閉じた状態に置かれることになりました。これは、意図の有無とは別に、制度の構造として「期限を信じた人が取り残される」仕組みになっていたことを示しています。

本当にその予算は適切なのか|診断と補助金の配分

では、診断と補助金の予算は、それぞれどれくらいだったのでしょうか。令和8年度の数字を並べます。

区分令和8年度の予算
設備導入補助金(出口)6,300万円
県独自の省エネ診断(入口)約1,922万円(当初予算)
令和2〜8年度の県独自診断への予算累計約1億1,603万円

※診断の予算額は、県の予算資料をもとにESDAが集計したものです。

つまり、県独自の診断には、設備補助金の約3割に相当する予算が計上されています。この予算を予定件数の約130件で割ると、1件あたり約14.8万円です。しかも、その診断の受付は補助金より1か月早く終了しました。入口にこれだけの県費をかけながら、入口が先に閉じてしまったのです。

また、滋賀県の事業所向け省エネ予算は、年度によって執行状況が大きく変わってきました。例えば、令和4年度は予算を上回る執行(執行率108.7%)となった一方、令和7年度は執行率が約68.7%にとどまる見込みでした。予算の規模や配分が、事業者の需要に合わせて見直されてきたのかも問われます。

より安く診断できるルートは、ほとんど使われていない

滋賀県の省エネ診断には、主に二つのルートがあります。

  • 県独自ルート:プラザ登録の専門家を派遣する方式。費用は県が負担し、事業者の負担は無料
  • 国の制度への相乗りルート:省エネルギーセンターや国の登録診断機関の診断を使い、事業者の自己負担(1割程度)をプラザが後から補填する方式

令和8年度の予定件数を見ても、約130件のうち国の制度への相乗りは20件程度にとどまります。また、ESDAが情報公開請求で得た資料を集計したところ、令和6年度の診断県費(約1,366万円)のうち、約97%が県独自ルート、国の制度への相乗りルートは約2%でした。また、令和7年度も同様の傾向が続いています。

1件あたりの県費を比べると、県独自診断は令和7年度決算で約13.8万円でした。一方、国の制度への相乗りなら、県の助成額は1件あたり約1万〜2.3万円です。その差は約6〜14倍になります。そのため、県独自ルートに偏るほど、同じ予算で診断できる件数は少なくなり、年度途中で予算が尽きやすくなります。

診断の県費を圧縮できれば、補助金はもっと多くの事業者に届いた

仮に、国の制度への相乗りを基本とし、診断の必要額を従来の15%程度に抑えられたとします。その場合、令和8年度の診断予算(約1,922万円)のうち、約1,630万円を他の用途に回せた計算になります。これは、設備補助金の予算(6,300万円)の約26%に相当します。

もちろん、国の予算枠や診断機関の処理能力、診断内容の違いなどもあり、この試算どおりになるとは限りません。また、割合や試算はESDAによる独自集計であり、県やプラザの公式評価ではありません。それでも、診断と補助金の配分を見直す余地があったことは、数字から読み取れます。

詳しくは、前回の記事「滋賀県の省エネ診断は誰のため? 令和8年度の早期受付終了を検証」で解説しています。

滋賀県省エネ設備補助金の制度設計に求めたい説明

今回の受付終了について、ESDAは誰かの意図を断定するものではありません。ただし、県費を財源とする制度である以上、次の点は説明されるべきだと考えます。

  • 設備補助金6,300万円、県独自診断約1,922万円という配分は、どのような根拠で決めたのか
  • 診断の受付期限を、補助金の期限より後に設定した理由は何か
  • 診断の早期終了により、補助金の申請に進めなかった事業者は何社あったのか
  • 診断の受付終了を、補助金の申請見込みにどう反映していたのか
  • より多くの事業者を診断できる国の制度への相乗りルートを、なぜ広く活用しなかったのか
  • 予算到達の見込みを、事業者へ事前に周知する仕組みはあったのか

これらは批判のための問いではありません。来年度以降、より多くの県内事業者が公平に制度を使えるようにするための確認です。

事業者が今からできること

滋賀県の補助金は今年度の受付を終えましたが、省エネ投資の選択肢がなくなったわけではありません。例えば、次のような準備が考えられます。

  • 国の省エネ補助金を検討する:公募のスケジュールや対象設備は「省エネ補助金4次公募とは?」で解説しています。
  • 来年度に向けて早めに診断を受ける:県の制度は年度前半に締め切られる可能性があります。そのため、4月の受付開始直後に動けるよう、今のうちに対象設備を整理しておくことが大切です。
  • 令和9年度の予算動向を確認する:国の概算要求から来年度の準備を進める方法は「概算要求から始める令和9年度省エネ補助金」をご覧ください。

まとめ

令和8年度の滋賀県省エネ設備補助金は、10月15日に予算額に達して受付を終了しました。その前に、申請の前提となる省エネ診断も、予定の約130件に達した9月17日に終了が告知されていました。つまり、公表された期限どおりに準備した事業者ほど、制度を使えない構造になっていたのです。

さらに、入口となる診断には補助金の約3割に当たる県費が計上され、その多くが1件あたりの費用が高い県独自ルートで使われてきました。本当にその予算は適切なのか。予算を「使い切ったか」ではなく、「どれだけ多くの事業者の省エネ投資につながったか」で検証することが必要です。

ESDAは、省エネ診断で現状を把握し、投資判断を行い、補助金はそのための手段として活用する、という順序を大切にしています。補助金の締切に振り回されない計画づくりや、国の制度の活用について、お気軽にご相談ください。

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