概算要求から始める令和9年度省エネ補助金|秋の事前準備
来年の省エネ補助金を確実に獲得するにはコツがあります。春の公募開始を待つのではなく「夏の概算要求」の段階から動き出しましょう。
8月末に各省庁の令和9年度予算概算要求が提示されました。「まだ概算要求」と報道を軽く見ていませんか?実は、各省庁の概算要求事項には、来年度の補助金事業に関するヒントが山積みです。なぜなら、補助金の採択率を高めるためには準備期間が必要だからです。具体的には、申請に必要な「複数社からの見積取得」や「事業計画の作成」には、数ヶ月単位の準備期間が必要になります。したがって、公募が始まってから準備を始めても申請期限に間に合わないケースが少なくないのです。
概算要求を受けて秋頃から準備を進めた企業は、余裕を持って準備ができます。その結果、完成度の高い事業計画書を作成し、省エネ補助金を獲得しています。
この記事では、令和9年度省エネ補助金の概算要求における重要ポイントを解説しています。さらに、採択を引き寄せるための年間スケジュール・今すぐ取り組むべき具体的な準備手順を紹介しました。
令和9年度の省エネ補助金獲得は「夏の概算要求」から勝負が始まる!

来年の公募開始から動いても間に合わない理由
省エネ補助金事業の多くは公募期間が1~2か月と非常に短期間です。それにも関わらず、申請には次のような多くの提出物が必要です。
- 省エネ効果の試算
- 複数社からの見積もり取得
- 申請書類の作成
その結果、公募開始から機器選定や見積もり取得を始めても、準備が不十分で不採択に終わる企業は後を絶ちません。
したがって、補助金の採択を引き寄せるためには、公募開始から逆算してスケジュールを組み立てることが不可欠です。
概算要求をチェックすることが採択への第一歩
8月末に各省庁から発表される概算要求が、来年の補助金獲得に向けた最初のステップになります。なぜなら、概算要求の資料には、来年度予算のヒントが目白押しだからです。
この時点で活用できそうな補助金の目星をつけることで、必要なデータ集計や社内調整を前もって進められます。
概算要求の段階で情報をキャッチアップすることで、補助金獲得を目指す他社に差をつけることができるでしょう。
令和9年度概算要求から見る「中小企業向け主要省エネ補助金一覧」
| 補助金事業名 | 執行団体名 | R8予算とR9概算要求額 | 概算要求から分かる変更点 |
| 省エネルギー・非化石転換の 投資促進・社会実装支援事業 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ | R8:840 億 (+補正 550 億) R9:2108億 | 支援水準の拡張、企業の成長にコミットする方針 |
| 再生可能エネルギー導入拡大に 向けた分散型エネルギーリソース 導入支援等事業 | ・業務産業用蓄電システム導入支援: 一般社団法人 環境共創イニシアチブ ・DR家庭用蓄電池事業 | R8 :3.7 億 (+補正 81 億) R9:101 億 | 施策の具体化・大幅な拡充。 補助枠組みの拡充(1/2,1/4) |
| 新事業進出・モノづくり商業 サービス補助事業 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 | R9:2200億(新規事業) | 従来の支援事業を「成長支援創出型事業」へと再編。 |
| 脱炭素技術等による工場・事業場の 省CO2化加速事業(SHIFT) | 一般社団法人温室効果ガス審査協会 | R8年当初: 27.9億円 (+補正35億) R9概算要求:76.8億 | ・従来の枠組みを拡充・再編 ・新事業の創出 |
| 建築物等のZEB化・省CO2化 普及加速事業 | 一般社団法人静岡県環境資源協会 公益財団法人北海道環境財団 | R8年当初: 67億円 (+補正48億) R9概算要求:115億 ※国庫債務負担行為は拡大 R8年: 3年間で総額 30億 R9年: 5年間で総額 113億 | ・事業メニューの再編と既存建築物改修の高度化・明確化 ・補助要件・補助率優遇の具体化 |
概算要求の概要
今回の概算要求から、省エネ補助金は大きな転換が示唆されました。
具体的には、従来の「補正予算頼み」から「当初予算での大規模確保」へと方針が変わりそうです。
主要な事業の概算要求金額は上図の通りです。令和8年度当初予算と比較すると「予算規模の大幅拡充」と「制度の高度化」が顕著といえます。
以降では、令和9年度の省エネ補助金概算要求の内容と、中小企業にとってのメリットについてお伝えします。
令和8年度当初予算からの主な変化点
令和9年度の概算要求が公表されました。結果として、経済産業省・環境省ともに今年度の予算から大幅に拡大しています。
最大の変更点は、当初予算と複数年枠の拡充です。これにより、年度途中の補正予算を待たずに計画を立てられるようになりました。例えば、「省エネルギー投資促進支援事業」では複数年の国債枠が設定されました。また、メーカーの省エネ性能コミット機器の導入支援などが新たに追加されています。さらに、環境省のSHIFT事業でも最高性能型導入支援枠などが登場し、よりCO2削減効果の高い設備への支援が強化されています。
今回の予算規模拡大と対象設備の追加は大きなチャンスです。中小企業が補助金を活用できる機会が増えました。なぜなら、予算枠が大きく広がった場合、全体の採択件数の増加が見込まれるからです。よって、従来よりも採択される可能性が高まるでしょう。さらに、最新機器やユーティリティ設備が新たに補助対象に追加されました。これにより、自社の設備状況に合わせた柔軟な設備導入が可能となりそうです。
このように、これまで省エネ補助金の申請を見送っていた企業にとっても、大きなチャンスといえるでしょう。
省エネ補助金が変わる「3つの背景(トレンド)」
今回の概算要求の背景には、国の支援方針における3つトレンドが存在します。
1つ目は「企業の投資予見性の確保」の方針が示されたことです。 補正予算依存から脱却し、当初予算で十分な枠を確保しています。これにより、中長期的な計画投資を後押しすることが狙いです。
2つ目は「成果重視・融資連動へのシフト」です。経済産業省の自己点検や 国民からの意見が反映されました。単なるばらまき型の設備投資支援を見直しています。以下の4点を方針とした仕組みづくりが行われています。
- ①成果に基づく制度運用
- ②目的に即した制度設計
- ③透明性・効率性の高い事業構造・執行体制
- ④事業者の自立や成長につながる仕組み
3つ目は「2030年削減目標および2035・2040年目標達成に向けた脱炭素化の前倒し」です。 2030年の脱炭素目標へ向け、既存ビル・工場の大型改修や、サプライチェーン全体でのCO2削減が強く求められています。
これらのトレンドは省エネ・脱炭素化を図りたい企業にとっては追い風です。今後は概算要求を元に議論が重ねられ、12月を目途に来年度予算が決定されます。補助金申請の準備をしつつ、引き続き来年度予算の動きを注視しておきましょう。
省エネ補助金獲得の年間スケジュール

来年公募の省エネ補助金採択率を上げるためには、概算要求が公開された秋から動き出すのが得策です。
この章では概算要求から補助金採択までに取り組むべき事項を段階的にまとめました。
【STEP1】概算要求から対象補助金を絞り込む
8~9月の情報収集期には、公開された概算要求を元に自社に関連がありそうな事業を絞り込みましょう。
実は、概算要求を確認することで、来年度の予算規模や注力施策、対象となる設備の傾向をいち早く把握することができます。
例えば、自社で更新を検討しているボイラやコンプレッサがどの事業枠なら補助金を狙えそうか、早期にアタリをつけられます。
この時期に対象設備を絞り込むことで、秋以降の準備を円滑に進めることができるでしょう。
【STEP2】省エネ診断を受けて、必要なデータを揃える
10~12月の現状把握期には、省エネ診断を必ず受診しましょう。なぜなら、省エネ診断によって設備投資の狙いどころが明らかになったり、申請書に記載が必要な「現状のエネルギー消費量」を把握できるからです。
秋の時点で正確な診断データを手に入れておくことで、説得力のある事業計画作成にもつながります。
【STEP3】複数社からの見積もり入手と事業計画の作成
1~3月は計画作成期間として、複数社からの相見積もり入手と事業計画作成を始めましょう。
補助金申請では必ずと言っていいほど複数社からの相見積もり(=金額の妥当性)と事業の実施可否が求められます。
省エネ診断の結果をもとに、設備メーカーや施工会社と具体的な設備導入プランを作成していきます。
公募開始までに提出書類の8割を完成させておくことが、採択を引き寄せる重要なポイントです。
【STEP4】公募開始と同時にスタートダッシュを切る
省エネ補助金事業の公募が始まったら、速やかに申請準備を始めましょう。公募期間は通常1~2か月と期間が短いケースが多く、事前に準備を終えていればスムーズに申請を終えられるからです。
仮に申請書類に不備があった場合でも、期間内であれば修正ができる点も、公募開始早々に申請するメリットといえます。
前年からの積み重ねで、補助金採択の確立を跳ね上げましょう。
秋の省エネ診断が補助金を獲得する上で重要な理由

中小企業向けの省エネ診断事業は年間を通じて実施されるケースがほとんどですが、補助金採択を狙うなら秋(10~12月)に実施することをお勧めします。その理由は以下の通りです。
- 第三者機関による客観的なデータが得られる
- 繁忙期前に受診することでスケジュール崩壊を防ぐ
①第三者機関による客観的なデータが得られる
省エネ診断は補助金申請に必須ではありません。しかし、現状のエネルギー消費状況や設備投資による省エネ効果を客観的に示すことができる点が大きなメリットがあります。
省エネ補助金の申請時に必要なデータが専門家によって示されることで、審査員から見ても採択しやすい事業計画が作成できます。
また、省エネ診断時に専門家から補助金に関する情報を得られることもメリットといえるでしょう。
中小企業向けの省エネ診断には国の補助もついているので比較的安価で受けられます。メリットが多いのでぜひ検討してみてください。
②繁忙期前に受診することでスケジュール崩壊を防ぐ
前述の通り、省エネ診断を受診するメリットは大きいです。しかしながら、省エネ補助金公募前になると応募が殺到し、スケジュール通りの受診が難しくなるケースがあります。
10~12月の受診をお勧めしたいのは、繁忙期を避けられることにあります。さらに、診断結果をもとにした対象設備の絞り込みができるので、そのあとの事業計画作成に余裕をもって取り組めるからです。
省エネお助け隊による伴走支援も利用し、省エネ補助金採択に向けて着実に行動していきましょう。
まとめ
令和9年度概算要求は中小企業の省エネ投資に大きなチャンス
令和9年度の概算要求は、省エネ・脱炭素化を図りたい中小企業にとって、大いに期待できる内容となりました。
なぜなら、当初予算の枠が大きく拡充され、予算規模の拡大や対象設備の追加等が示唆されたためです。
今後は概算要求を元に議論が重ねられ、12月を目途に来年度予算が決定されます。
補助金申請の準備をしつつ、引き続き来年度予算の動きを注視しておきましょう。
秋からの事前準備で採択を引き寄せる!省エネ診断は当協会にお任せ!
省エネ補助金を確実に獲得するためには、来年春の公募開始からではなく、秋から事前準備を始めることが大切です。
なぜなら、申請に必要な事業計画の作成や相見積もりの取得には、数ヶ月単位の準備期間を要するからです。
実際に、秋からエネルギー消費量の把握や対象設備の絞り込みを進めていた企業が、省エネ補助金の採択を勝ち取っています。
一般社団法人エナジーセーブデザイン協会では、省エネ診断事業や補助金申請まで、幅広いサポートを行っています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

