【提言】 滋賀県省エネ支援事業の真の課題:継続的な投資を阻害する「回数制限」の壁

滋賀県省エネ支援事業の真の課題:継続 的な投資を阻害する「回数制限」の壁 について

当協会(ESDA)では、滋賀県の「事業所省エネ・再エネ等推進加速化事業」の13年間にわたる運用実態を分析してまいりました 。その結果、予算の未消化や執行率の低迷を招いている真の要因は、補助率の低さではなく、全国でも極めて異例な運用ルールにあることが浮き彫りとなりました。

1. 支援の継続性を断絶させる「一企業一回まで」の制限

本事業において最も大きな制約となっているのは、原則として「一企業につき一回限り」という採択制限です。

  • 全国的な比較: 47都道府県の類似事業を見渡しても、これほど厳格な回数制限を設けている例は極めて稀です。
  • 意欲ある企業の排除: 段階的な省エネ投資(例:初年度に照明、次年度に空調など)を計画する意欲的な企業であっても、一度採択されれば二度とこの制度を利用できなくなります。
  • 「機会の平等」の弊害: 全ての企業に一律のチャンスを与えるという形式的な平等に固執するあまり、実際のCO2削減効果を最大化できる「省エネ推進企業」を制度から排除してしまっている現状があります。

2. 補助条件の変遷と活用の実態

過去の予算動向を振り返ると、補助率1/2・最大200万円という手厚い支援が行われたのは平成27年度と令和4年度のスポット的な運用にとどまっています 。

  • 通常時の補助水準: その他の年度においては、補助率1/3・上限100万円という水準で推移しています。
  • 形骸化する予算: 令和7年度も予算の約23.6%(1億8,142万円)が残予算として計上される見込みですが 、これは「一度使った企業は二度と使えない」というルールが、潜在的な利用者の分母を自ら狭めている結果と言わざるを得ません。

3. 当協会からの提言:実効性重視の制度設計へ

カーボンニュートラルの実現には、一過性の補助ではなく、企業の継続的な改善サイクルを支援することが不可欠です。当協会は、滋賀県の施策がより実効性の高いものとなるよう、以下の改善を提言します。

  1. 「一回限り」の制限撤廃または緩和: 複数年にわたる段階的な省エネ計画を持つ企業に対し、継続的な支援を可能にすること。
  2. 「機会の平等」から「削減の最大化」へ: 形式的な平等ではなく、実際の省エネ効果や投資意欲を評価基準の中心に据えること。
  3. 診断コストの最適化と補助枠の拡大: 以前より指摘している「診断事業の効率化(約1/10への圧縮可能)」により生出した財源を 、継続投資を行う企業への追加補助枠に充当すること。

当協会は、県内中小企業の皆様が、制度の壁に阻まれることなく、持続可能な経営と環境対策を両立できる環境整備を求めてまいります。

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