令和2年からの提言が実現|滋賀県省エネ補助金の再申請改善

滋賀県省エネ補助金の再申請緩和と、草津市2/3補助モデルを県内市町へ広げる意義
令和2年からの提言が実現|滋賀県省エネ補助金の再申請改善 について、令和8年度の「滋賀県省エネ・再エネ等設備導入加速化補助金」では、令和7年度までの制度と比べて、重要な変更が行われています。
その中でも特に大きな変更点が、過去に滋賀県の省エネ設備補助金を利用した事業者にも、再び申請できる余地が生まれたという点です。これは、単なる対象者拡大ではありません。これまで滋賀県の省エネ補助金が慢性的に予算額を大きく余らせてきた構造的な原因の一つが、ようやく改善されたものといえます。
一般社団法人エナジーセーブデザイン協会(以下ESDA)では、令和2年頃から、過去に補助金を利用した事業者を一律に対象外とする制度設計は見直すべきだと提言してきました。今回の変更は、ESDAが長年求めてきた制度改善が、ようやく実現にこぎつけられたものです。
さらに、滋賀県内では草津市が昨年度から、滋賀県補助金に市独自の補助金を相乗りさせる制度を実施しています。これにより、草津市所在の事業者は、実質的に補助率2/3で省エネ設備投資を検討できるようになりました。今回の県制度の改善は、この「草津市モデル」を県内の他市町へ広げていくうえでも、大きな意味を持ちます。
これまでの問題点:一度補助金を使うと、次の省エネ投資に進みにくかった
省エネ対策は、一度の設備更新で完了するものではありません。
たとえば、ある年度に照明をLED化し、次の段階で空調設備を更新する。その後、コンプレッサ、冷凍冷蔵設備、生産設備、変圧器、断熱対策、エネルギー計測などへ段階的に取り組んでいく。このように、事業所全体のエネルギー使用状況を見ながら、優先順位をつけて継続的に改善していくことが、本来の省エネ対策です。
しかし、これまでの滋賀県の省エネ補助金では、過去に県の省エネ設備補助金を利用した事業者が、次回以降の申請対象から外れやすい制度設計となっていました。つまり、「一度補助金を活用して省エネに取り組んだ意欲的な事業者ほど、次の設備投資に進みにくくなる」という矛盾がありました。

慢性的な予算未執行を生んできた元凶
滋賀県の省エネ補助金では、これまで予算額に対して実際の採択・執行額が伸びきらず、年度末に予算を大きく余らせる傾向が見られてきました。その要因の一つが、過去に補助金を利用した事業者を広く対象外としてきた制度設計です。
本来、省エネ意識が高い事業者ほど、最初の設備更新後も、次の改善テーマを持っています。
- 照明を更新した事業者は、次に空調を検討する。
- 空調を更新した事業者は、次にコンプレッサや生産設備を検討する。
- 省エネ診断を受けた事業者は、複数年に分けて改善提案を実行していく。
こうした事業者こそ、補助金の政策効果を高めやすい層です。にもかかわらず、過去利用者を排除してしまえば、最も投資意欲が高く、次の省エネ効果を生みやすい事業者を自ら制度から離脱させることになります。令和8年度の変更により、この慢性的な予算未執行を生んできた元凶の一つが、ようやく改善されることになります。
ESDAは令和2年から制度改善を提言
ESDAでは、令和2年頃から一貫して、「過去利用者の一律排除」は見直すべきだと提言してきました。理由は明確です。省エネ投資は一回限りのイベントではなく、継続的なプロセスだからです。
一度補助金を利用した事業者は、省エネに関心が高く、設備更新の必要性も理解しています。また、省エネ診断によって、まだ実施できていない改善提案が残っているケースも多々あります。現場の声を吸い上げ、継続して制度改善を求めてきた結果、令和8年度、ついに「一定期間(3年)を経過していれば、再び対象になり得る」制度へと変更されました。これは、現場からの継続的な提言が、ようやく制度に反映された重要な改善です。
令和8年度の変更内容:「3年経過」で再申請の余地
令和8年度の制度では、過去に滋賀県の省エネ設備補助金を受けた事業者であっても、交付を受けた年度の翌年度から起算して3年を経過していれば、再び対象になり得る内容となっています。
これにより、段階的な省エネ投資を認める方向へ大きく前進しました。
草津市補助金にも影響していた「過去利用者排除」の問題
この制度変更は、滋賀県補助金だけに関係する話ではありません。草津市では、昨年度から滋賀県の省エネ補助金を起点として、市独自の補助制度を相乗りさせる仕組みを実施しています。
この仕組みにより、草津市所在の事業者は、滋賀県補助金(1/3)+草津市補助金(1/3)を組み合わせることで、実質的に補助率2/3で省エネ設備投資を検討できるようになりました。
しかし、草津市の制度は滋賀県補助金を起点とした「相乗り制度」であるため、滋賀県側で過去利用者を排除してしまうと、自動的に草津市の補助制度まで利用できなくなっていました。今回の県制度の緩和は、草津市所在の事業者にとっても、補助率2/3という極めて有利な支援機会を再び得るチャンスとなるのです。
草津市モデルの強み:投資回収年を劇的に短縮する
草津市の相乗り制度は、単に「補助金が少し増える」という話ではありません。省エネ設備投資における「投資回収年」を劇的に短縮し、経営判断を「見送り」から「実行」に変える力を持っています。
| 補助率 | 事業者負担 | 投資回収年への影響 |
| 補助なし | 100% | 回収年が長く、投資判断が難しい(例:6年) |
| 補助率 1/3(県のみ) | 約67% | 回収年が一定程度短縮(例:4年) |
| 補助率 2/3(県+市) | 約33% | 回収年が大幅に短縮(例:2年程度) |
この表の後に、「回収年が2年程度になれば、中小企業のキャッシュフローに与える影響は最小限になり、攻めの経営が可能になります」といった一言を添えると、より経営者への訴求力が高まります。
市町の事務負担を抑えつつ、地域に削減効果を残す
「草津市は財政に余裕があるからできる」という声を聞くことがありますが、それは誤解です。草津市モデルの本質は、「滋賀県の審査プロセスを活用することで、市の事務負担を最小化している」点にあります。
- 審査・採択は県におまかせ: 市が独自に専門的な省エネ審査体制を一から構築する必要はありません。
- 少額の上乗せでも効果絶大: 10万円、20万円といった少額の上乗せでも、事業者にとっては投資回収年を数ヶ月〜1年早める「最後の一押し」になります。
- 効果は地域に還元: 省エネによって削減された電気代・燃料費は、そのまま地域企業の利益となります。また、CO2削減効果もその市町の成果としてカウントされます。
草津市モデルを県内18市町へ広げるために
この優れた草津市モデルを全県に広げるためには、行政担当者だけでなく、市議会・町議会での問題提起が不可欠です。
議会で取り上げるべき5つの論点
- 先行事例の成功: 草津市で実質2/3補助が実現し、事業者の投資を後押ししている。
- 事務負担の軽さ: 県の制度に相乗りするため、市町のマンパワーを割かずに実施可能。
- 少額予算での効果: 大規模予算でなくとも、数万〜数十万円の上乗せが投資判断を分ける。
- 産業支援と環境政策の両立: 地域企業の経営改善と脱炭素を同時に達成できる。
- 県制度改善の追い風: 令和8年度から再申請が可能になった今こそ、連携の最大チャンス。
どのような事業者に関係するのか
今回の変更は、特に次のような事業者にチャンスとなります。
- 過去にLED照明を導入し、現在は空調やコンプレッサ、変圧器などの更新を検討している。
- 省エネ診断を受けたが、予算の都合で一部の設備しか更新できていなかった。
- 令和4年度以前に補助金の交付を受け、そろそろ次のステップに進みたい。
ここに「自社が対象かどうかわからない場合は、まずESDAにご相談ください」という導線を置くとスムーズです。
まとめ:補助金は「一回使ったら終わり」ではない
中小企業の省エネ対策において、補助金は「一度使って終わり」の使い切りチケットであってはなりません。事業者の継続的な改善を伴走支援し続けるためのエンジンであるべきです。
令和8年度の滋賀県の制度変更は、その理想に向けた大きな一歩です。ESDAはこのチャンスを活かし、草津市モデルを県内全域へ広げ、滋賀県の中小企業がエネルギー価格高騰に負けない強い経営基盤を築けるよう、これからも支援を続けてまいります。
【お問い合わせ・ご相談】
一般社団法人エナジーセーブデザイン協会(ESDA)では、省エネ診断から設備更新の優先順位整理、補助金申請の伴走支援まで承っております。

