令和6年度補正予算の省エネ診断・伴走支援事業による製造業の実例を紹介。 製造業の工場で年間1,167万円削減する事例とは?

令和6年度補正予算の省エネ診断・伴走支援事業による製造業の実例を紹介。 エネルギー価格の高騰が続くなか、多くの製造業で悩みを抱えています。 工場の電気代を削減したいが、設備更新を進めたいが、どこから手を付ければよいかわからない。

令和6年度補正予算の「中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費(地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業)」(令和7年度での実施)では、省エネ診断に加え、改善提案の実行や効果検証まで支援する「伴走支援」が実施されています。

さらに、本稿では、滋賀県の製造業である大丸工業株式会社の事例をもとに、令和6年度補正予算の省エネ診断・伴走支援事業による製造業の実例を紹介しつつ、どのような効果が期待できるのかをご紹介します。工場の電気代削減や生産性向上、脱炭素経営に取り組みたい企業の皆さまはぜひ参考にしてください。

なぜ工場の省エネは診断だけでは効果が出にくいのか

省エネ診断では、設備や運用の問題点を分析し、エネルギー削減につながる改善提案を行います。

しかし実際には、

  • 提案内容の優先順位が分からない
  • 投資対効果を十分に検証できない
  • 社内で実行体制を作れない
  • 補助金の活用方法が分からない

といった理由から、せっかくの診断結果が活用されないケースも少なくありません。

そこで重要になるのが「伴走支援」です。

伴走支援では、診断結果をもとに改善施策の具体化、測定調査、効果検証、補助金活用の検討などを継続的に行い、実際の成果創出までサポートします。

大丸工業株式会社の省エネ診断結果

大丸工業株式会社は、創業50年以上の青銅鋳物メーカーです。

電気炉や砂処理設備などの生産設備に加え、集塵機、ポンプ、コンプレッサー、空調設備、照明設備など、多くのエネルギー消費設備を保有しています。

診断では工業炉、空調、冷却設備を中心に工場全体を横断的に分析し、以下の省エネポテンシャルが示されました。

事業所全体の削減効果

  • エネルギー削減量:95.44kL/年(原油換算)
  • CO₂削減量:171.7t-CO₂/年
  • 費用削減額:1,167.1万円/年

単なる設備単位の改善ではなく、工場全体を最適化することによって大きな削減効果が見込まれることが分かりました。

省エネ診断で見つかった電気代削減ポイント

工業炉の高効率化更新

鋳造業では工業炉が最も大きなエネルギー消費設備の一つです。

今回の診断では、既存の高周波誘導炉を最新のIGBT電源インバータ式へ更新する提案を行いました。

これにより、

  • 年間約224,608kWh削減
  • 約58%の電力削減

が見込まれています。

さらに、工業炉周辺の熱環境改善によって、夏場の作業環境改善も期待されています。


ポンプのインバータ制御化

現状はダンパによる流量調整を行っていましたが、インバータによる回転数制御への切り替えを提案しました。

その結果、

  • 年間51,102kWh削減
  • 約35%削減
  • 投資回収期間約0.7年

という非常に高い投資対効果が期待されています。


集塵機ファンのインバータ化

換気設備や集塵機は、必要以上の風量で運転されているケースが多く見られます。

今回の提案では、

  • 年間54,425kWh削減
  • 約55.6%削減
  • 投資回収約1.4年

という効果が見込まれています。


井水熱交換空調の導入

年間を通じて18℃前後の井水を利用する空調システムも提案されました。

このシステムでは、

  • 年間7,943kWh削減
  • 約87%削減

が期待されており、省エネだけでなく脱炭素化や夏季のBCP対策にも有効です。

伴走支援によって実現した設備改善と運用改善

エア漏れ総点検による見える化

工場では圧縮空気の漏れによるエネルギーロスが発生している場合があります。

しかし漏れは目で確認できないため、見過ごされることが少なくありません。

伴走支援では、超音波カメラ(エアリークビューア)を活用して事業所全体のエア漏れ調査を実施しました。

漏れ箇所を画像で可視化し、平面図に記録することで、

  • 優先順位を付けた補修
  • 継続的な点検体制の構築
  • 現場スタッフの省エネ意識向上

につなげています。

診断では年間約5,830kWhの電力削減効果も示されています。


コンプレッサー制御の最適化

コンプレッサーは工場の電気使用量の大きな割合を占める設備です。

今回の伴走支援では、

  1. 制御設定の確認
  2. 電力測定による実態把握
  3. メーカーとの協議
  4. 設定変更後の効果検証

という流れで詳細な分析を実施しました。

調査により、インバータ機が主力運転となっている状況が確認され、より効率的な運転方法の検討が進められています。

このような取り組みは、一度の診断ではなく継続的な伴走支援だからこそ実現できる内容です。

補助金活用による設備更新のメリット

省エネ設備への更新には一定の投資が必要となります。

一方で、工業炉やインバータ設備などは省エネ関連補助金の対象となるケースがあり、活用することで投資負担を軽減できます。

診断の中では、

  • どの設備更新が優先度が高いのか
  • どの程度の削減効果が期待できるのか
  • 補助金活用の可能性があるか

まで整理することで、経営判断をしやすくしています。

事業者が評価した伴走支援の価値

大丸工業株式会社からは、

「工業炉や空調など熱エネルギーに関わる複数設備を横断した非常に付加価値の高い提案だった。部分的な改善にとどまらず、工場全体の省エネ最適化と生産性向上に向けて継続してサポートいただけることが心強い」

との評価をいただいています。

工場の省エネは設備単体ではなく、工場全体のエネルギーフローを最適化する視点が重要であることを示す事例といえるでしょう。

まとめ|省エネ診断と伴走支援で工場の電気代削減・生産性向上を実現

製造業における省エネは、単に設備を更新するだけでは十分な効果を得られません。

重要なのは、

  • 現状を正確に把握する
  • 削減効果の高い改善策を見極める
  • 実施後の効果を検証する
  • 継続的に改善する

というサイクルを回すことです。

今回の事例では、診断と伴走支援を組み合わせることで、

  • 年間95.44kLのエネルギー削減
  • 年間171.7t-CO₂の削減
  • 年間1,167.1万円のコスト削減

が見込まれました。

さらに、工場の電気代削減や省エネ補助金の活用、脱炭素経営の推進をご検討の企業様には、令和6年度補正予算の省エネ診断・伴走支援事業による製造業の実例を紹介しており、省エネ診断と伴走支援を有効に活用してみてはいかがでしょうか。


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