【分析】 滋賀県CO2ネットゼロ推進事業の費用対効果と今後の展望

滋賀県CO2ネットゼロ推進事業の費用対効果と今後の展望 について
滋賀県が実施する「持続可能な社会作りに向けた再エネ・省エネの推進事業」について、令和3年度から令和6年度の決算データに基づき、部門別の費用対効果を分析しました。その結果、家庭部門における課題と、民間診断による事業所部門の効率性が浮き彫りとなっています 。

1. 家庭部門:費用対効果の著しい悪化
「スマート・エコハウス普及促進事業(家庭部門)」は、県税投入に対するCO2削減効率が極めて低い状態にあります 。
- 削減単価の急騰: 1t-CO2削減あたりのコストは、令和4年度の37,753円から、令和6年度には135,268円へと約3.6倍に膨れ上がっています 。
- 投資効率の低下: 予算を増やしても削減量が比例して増えるわけではなく、効率的な削減に寄与する「県税効果」が薄れていることがデータから示されています 。
- 分析の必要性: 削減総量だけでなく、1円あたりの削減量という「解像度の高い分析」が急務となっています 。
2. 事業所部門:行政公表データによる現状と予算推移
滋賀県が公表している「省エネ・再エネ等推進加速化事業(事業所部門)」の全体実績は以下の通りです 。
- 予算の縮小傾向: 令和4年度(補正予算等を含む累計)をピークに、事業所部門の総予算は減少に転じています 。
- 決算と執行: 令和4年度は予算額9,262万5,000円に対し、決算値が1億69万2,577円(執行率108.7%)と予算を上回る執行が行われましたが、以降の予算規模は抑制されています 。
- 削減実績: 令和6年度は56件の事業所に対し、4,763万8,677円の決算額で、532.0 t-CO2の削減を達成しました 。
3. 一般社団法人エナジーセーブデザイン協会の活動成果
当協会が実施した診断・支援事業は、自治体の公表値とは別に集計されており、独自の高い費用対効果を発揮しています 。

- 圧倒的な費用対効果(24倍の格差): 令和7年度(見込み)において、当協会の支援によるCO2削減コストは5,602円/t-CO2となる見通しです 。これは、家庭部門の削減単価(135,268円/t-CO2)と比較して約24倍の費用対効果を誇る極めて安価な水準です 。
- 提案数との相関: 診断時の平均提案数を増やすことで、削減量がしっかりと比例して増加する仕組みを構築しています 。
- 寄与割合: 当協会の支援により、受診事業者のエネルギー・CO2量に対して概ね2%程度の削減効果(名目値)が得られることが分析により判明しました 。

4. 今後の戦略:実効性のある削減への転換
今後のネットゼロ施策においては、限られた予算を効率的に配分する戦略が必要です 。
- 予算配分の最適化: 令和4年度以降、事業所部門の総予算が減少傾向にある一方で、家庭部門の費用対効果は著しく悪化しています 。実効性を高めるためには、削減単価が家庭部門の24倍も効率的な「診断・伴走型」の事業所支援へ注力すべきです 。
- 事業規模の拡大: 滋賀県・京都府内における受診事業者の総エネルギー量は約40万GJに達しており、この母数を拡大することで実質的な削減総量を積み上げます 。
- 削減寄与率の向上: 現在の2%という削減寄与割合をさらに上昇させることで、より少ない予算で大きな効果を追求します 。

